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2006年2月28日 (火)

JALの内紛

昨日配信のJMM『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』に寄稿しました。編集長、村上龍さんの質問「日本航空経営陣に内紛が起こりました。見かけ上「一枚岩」の経営を続けてきた日本企業では異例のことだと言われています。この問題には、いわゆる「日本的経営」に一石を投じる象徴的な意味合いがあるのでしょうか」。という質問に答えたものです。以下、要約です。

今回の内紛が「日本的経営」に一石を投じるかどうか象徴的な意味合いもさることながら、日本航空グループの個別の問題として、経営状況、そしてグループの存続基盤である安全管理、安全運航への取り組みに大いに疑問を感じる。昨年、国土交通省より事業改善命令を受けた後も安全トラブルは続き、その度に「再発防止に努め」という言葉が決まり文句のようにひたすら繰り返された。
 2月6日に発表されたJALグループの4-12月の連結純利益は、230億円の赤字となった。国際事業については旅客、貨物とも前年比プラスとなっているが、国内事業が落ち込んだ。
国内旅客事業については前年比72億円の減収(前年比1.4%減)。この背景について、JALは「個人旅客が一連の安全上のトラブルの影響を主因に伸び悩んだ」としている。(ちなみに、同期間のANAグループの国内旅客事業は240億円の増収)。業績回復のためには、様々なリストラ策もさることながら、一刻も早い安全運航体制の確立と利用者の信頼回復が必要不可欠。
 JALグループは、度重なる安全トラブルで、昨年3月17日、国土交通省より、(株)日本航空インターナショナルに事業改善命令、
(株)日本航空、(株)日本航空ジャパンには警告の処分を受けている。この処分の対象となった管制指示誤認、部品誤使用、ドアモード未変更というトラブルの内容を見てみても、信じがたい基本的レベルの過失であり、安全運航を提供する組織として、非常に重大な問題が生じていたことは明らか。
 その際、グループ側は「安全なフライトを提供することは、公共交通機関であるJALグループの社会的責務です。この最も重要な使命達成のための基本的な手順や連絡を怠ったことを、お客様はじめ皆様に心より深くお詫び申し上げます。安全運航はJALグループの存立基盤であり、航空会社として最も重要なことです。私たちは今回の処分を真摯に受け止め、全グループ社員が原点に戻って安全意識の再徹底を行い、お客様の安心と信頼を取り戻していくために、一丸となってあらゆる努力を行ってまいります」とコメントを発表。
しかし、その数日後には、緊急着陸、テール・スキッドの滑走路接触など一日に4件のトラブルが発生している。

4月には改善措置を発表。発表された改善措置の中で新町CEOは、「社長はじめ経営に携わるもの自らが先頭に立ち、強い意思とリーダーシップをもって、グループをあげた安全体制の再構築に取り組み、お客様はじめ広く社会からの信頼回復に向けて全力を傾注してまいります」。とした上で

1 要因・背景分析および経営として反省し改善すべき点
2 全社一丸となった安全意識改善への取り組み
3 ヒューマン・エラーの防止等のための手順、マニュアルの見直しおよび遵守の徹底
4 安全情報の的確な伝達と処理のために ― 安全組織体制の見直し
 を掲げた。

 しかし、その後も複数回の重大インシデントを含め、数々のトラブルが続いた。
5月には、緊急着陸(8日と21日)、航空機製造事業法に関わる認可取得漏れの発覚、カート未収納のまま着陸、運航乗務員が気管支喘息の診断を受けつつ乗務していたことが判明、部品の破断。 6月には、タイヤ二本が外れホイールの一部破断。7月には、緊急降下、整備ミスによる逆推力装置不作動。9月、飛行計画承認の未受領による運航。12月、緊急脱出スライド不備。誘導路離脱。そして今年に入って、1月には、昨年7月に発生した事例と同様の整備ミスで逆推力装置不作動となるトラブル。 加えて、今回の内部抗争。一体どのように「一丸となって」「あらゆる努力を行って」「再発防止に努めて」きたのだろうか?

 発表された事業改善命令・警告に対する改善措置の中で、現場と経営の一体感を強化すべく、双方向のコミュニケーションに努めるとしていますが、現場と経営の一体感もさることながら、経営陣同士の一体感やコミュニケーション強化にも努める必要がある。安全運航と事業改善には、チームワークと組織内の信頼関係、そして、各自が自身の職務を理解し遂行することが不可欠。こうした要素があちこちで欠落し、崩れた状況で、日々多くの人命を運んでいる状態が一体いつまで続くのだろうか・・・。
 事業改善命令より更に重い処分である運航停止の判断基準は私にはわからないが、事業改善命令が出されて間もなく一年、その間も安全トラブルを繰り返しつつ、多くの人命を運び続けた状況には背筋が寒くなる。どういう状況になったら更に重い処分が下されることになるのか、「再発防止に努め」と言う言葉を今年はあと何回聞かねばならないのか、私には全くわからないが、一生活者としての私個人としての防衛手段は、これ以上重大なトラブルが発生しないようにひたすら祈りつつ、安全管理体制の改善・確立が確認できるまで、こうした航空会社の利用を控えることしかないのだろうか・・・。一刻も早い事業の改善と安全運航体制の確立を願うばかりだ。

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コメント

安全第一でお願いします。。。<(_ _)>

投稿: staka | 2006年3月 3日 (金) 11時25分

☆stakaさん
ですね・・・。
本当に。

投稿: 渡辺タカコ | 2006年3月 4日 (土) 02時02分

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