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2007年5月22日 (火)

一部始終

「一部始終をとらえました」。

おいおい。とテレビを前にツッコミを入れる。そんなことってありえない。

少なくとも一部始終のカケラをとらえるのだって、たった一日の取材じゃ無理だろう。

アートだって同じ事。

メトロポリタン、MOMA、ルーブル、ウフィツィ、プラド、ナショナル・ギャラリー、テートギャラリー等々・・・。

有名・無名、欧米のかなりの数のギャラリーをまわったが、若いときに世界的名作を相当数観られた事はとても幸運だったし、それらは美と芸術のビジュアルデータベースとなり、財産になっている。

それでも、一生かかっても全てのギャラリーをまわることは不可能。(あたりまえだけど。)

一時期は、仕事以外のほとんどの時間をギャラリーめぐりに費やしたけれど、メトロポリタンやルーブルなどは何度も何度も繰り返し足を運んでも全ての展示を観ることさえ相当な時間がかかり、見ていない作品も多い。

観れば観るほど、自分が観ていないこと、そして無知に気づく。

先日、日本のある小さなギャラリーで開かれた展示に足を運んだ。

ギャラリーの方と話が弾み、ギャラリー所蔵の写真家の作品をみせて頂いた。

何十年も前に地位を確立されている日本の写真家だけれど、正直なところ、その過去の作品をあまり知らなかった。そして、その作風と手法に驚いた。

最近デジタル技術を使った作品によく見かける作風だが、デジタル出現以前の作品。

当時は相当に斬新な手法だったに違いない。

アラーキー氏が、世界に同時に同じ事を考えている天才は3人いる・・・というようなことを言っていたが、天才でさえ同時に3人。

そうで無い人が考えることの多くは、現在・過去のデータベースをたどると既存のありふれた発想であることに容易に気づく。

温故知新。

なかなか難しい。

だからこそ、謙虚にならなければと思う。

そしてあきれるほどに無知な自分を信じるバカさ加減も必要なのだと思う。

やってられんでしょ。世界や歴史を知ると。どれだけ知らないか、どれだけ無力かを思い知らされる。

それでも呼吸をするのと一緒で、やらなきゃいられないからしょ~がない。

バカだね。

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コメント

どうも無知です(笑)
でも無知であることは知ることができる権利もチャンスもあるってことで、好きです。
もっと知りたいですね。時代は繰り返す。でもその少しの斬新なアイデアが時代を作って行くのでしょうね

投稿: yuzi | 2007年5月22日 (火) 23時10分

☆yuziさま
本当の無知は自分が無知であることすら知らないと思います。
知らないことを知る。そこから進むということが、どんなことでも大切なのでしょうね。

投稿: 渡辺タカコ | 2007年5月22日 (火) 23時41分

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